お客さんを選ばないと、お客さんから選ばれない

この記事は1年前の西野亮廣エンタメ研究所の記事です。
2019年10月23日

おはようございます。

『にしのあきひろ光る絵本展inエッフェル塔』の事前準備があるとはいえ、それにしても早めにパリ入りするスタッフに対して、バカンス疑惑を抱いているキングコング西野です。

(※ちなみに田村Pは、今日はフランスからニースに飛ぶらしい。個展は2000%関係ない)

さて。

今日は、「そんなことは分かっていたけど、でも、やっぱり大事だよなぁ」と思うことが最近あったので、皆様に共有しておきたいと思います。

僕はデビュー1年目の頃から、劇場で、酔っ払って延々と叫ぶお客さんや、赤ちゃんが泣にわめいているのにロビーに出ずに、いつまでの客席で「よしよし」と“あやす”親を、帰していました。

普通に漫才を止めて、場合によっては客席に降りていって、チケット料金をお渡しして「帰ってください」と言っていました。

当然、酔っ払って声をあげたり、赤ちゃんが泣いたりしただけでは、そんなことはしません。

そこはプロ中のプロなので、軽くイジッて笑いに変えています。

対象は、「延々と」叫び続けたり、「いつまでも」泣き続けたりするお客様です。

(※赤ちゃんの場合は一旦ロビーに出て、泣き止んだら戻ってきたらいいと思っています。もちろん迎え入れます)

過去、こういうことが何度もネットニュースになり、その都度、「客を帰すなんて、サイテー!」「芸人だったら、それを笑いにしろよ!」と国民の皆様から叩かれまくってきましたが、この時、国民の皆様の声なんぞどうでもよくて、僕は劇場に足を運んでくださったお客様の気持ちを優先します。

僕が時間とお金を払って、お客さんとして劇場に足を運んだ時に見たいのは、

酔っ払って叫んでいるお客さんの対応を延々とする芸人の姿でもなく、

泣いている赤ちゃんを“客席で”「よしよ~し」とする親の対応をする芸人の姿でもなく、

この日、この時間の為に準備してきた芸を存分に披露してくれる芸人の姿です。

僕が芸人として板の上に立つときに脳ミソの最前列にあるのは「キングコング西野に、どう振る舞って欲しいか?」という“お客さん目線”です。酔っ払っている騒いでいるお客さんがいたら、キングコング西野には迷わず帰らせて欲しいんです。

そのことでキングコング西野が外野から叩かれても、僕がお客さんだったら「西野、よくやった!」と拍手を贈るんですね。

商売の世界では、「お客さんを選ばないと、お客さんから選ばれない」という有名な言葉があります。

先の劇場の話で言うと、「僕がお客さんだったら、酔っ払い客を帰さないキングコング西野のファンにはならない」という話です。

「幕の内弁当」には、個人的にはそこまで好きでもないのに食べてるオカズが混じっていると思うのですが、耳障りの良い「すべてを受け入れる」という姿勢には、その裏でコッソリと被害者が生まれているわけですね。

んでもって、今の時代です。

・ポルカドットスティングレイ

・yonige

・みやわかくん

・祭nine.

彼らは今年『日本武道館』で単独公演をおこなった人気アーティストなのですが、(※音楽はとっても素晴らしいですが)この名前をどれだけの方が知っているでしょうか?

ネットインフラが整って、エンタメが細分化して、発信者が増えて、皆の好みが細部化したので、「知らない・興味がない・趣味が合わない」が増えたんですね。

こんな時代に、「すべてを受け入れる」という表現は、お客さんからすると「好きでもないオカズだらけ」で、どうやって好きになればいいのか、よく分かりません。

ライブシーンでは、「いろんなジャンルのアーティストを集めましたー!一気に、いろいろ見れて、お買い得でーす!」というコンセプトのフェスは、軒並み集客に苦戦しています。

今の時代こそ、「お客さんを選ばないと、お客さんから選ばれない」という言葉に向き合うべきで、そんな矢先、背筋が伸びるような出来事がありました。

数日前に投稿した「3か月後におこなう2万人の舞台」のお話の続きです。

(※人気がある劇団なので、この話をすると、勘の良い方はどの劇団か察しがつくかもしれませんが、分かっても、コメント欄でも具体名はナイショにしといてね☆)

舞台のオファーを引き受ける時の条件としてコチラが提示したのは「西野が脚本を書く」だったんです。思い入れのある作品ですし、僕自身、勝負に出たかったので。

それを受けて、「逆にいいんですか!?願ったり叶ったりです!」と先方さんは喜んでくださったので、僕が脚本を書くことは1秒で決まったのですが、とは言え、舞台のハンドリングをするのは先方さんです。

というわけで脚本執筆に入る前に、「『これだけはNG』というのがあれば、事前に教えておいてください」と話を持ちかけてみたところ、一言目に返ってきたのが「なるべく女性キャストは出さないでください」でした。

この一言に、この劇団の、この作品の「ターゲット層」「切り捨てた層」「狙い」「覚悟」の全てが含まれていました。

「切り捨てた層」がある時点で、ニッチを攻めているのですが、どっこい、この劇団は今、ビックリするぐらい大人気です。

そして、ビックリするぐらい大人気ということで、切り捨てられた層も「そんなに人気なの?どれどれ」と気になって、結果、足を運んじゃっています。

近いところで言うと『宝塚歌劇』がそうですね。

少女漫画好き層だけにターゲットを絞って、つきつめた結果、国民的エンターテイメントとなっちゃったアレです。

「ローカルメジャー」と「グローバルニッチ」という言葉があります。

例えるなら、「ローカルメジャー」は日本語依存の『テレビ』『YouTube』がそうです。

日本(ローカル)の中ではメジャーですが、グローバル展開はチョット厳しいです。

『漫画』や『アート』はニッチですが、グローバル展開の可能性を秘めているので、「グローバルニッチ」ですね。

「なるべく女性キャストは出さないでください」が、躊躇わずに一言目に出てくるのが見事で、お客さんを完全に選んでいますし、加えて、そこで取り扱うメインコンテンツは『恋』という万国共通語なので、入り口はニッチでありながら、グローバル展開が可能です。

さらに見事なのが、キャストの性別を統一するだけで、キャスト同士の恋を見させられるエンタメではなくて、お客さんがキャストに恋をするエンタメになるので…つまるところ、「脚本の中に恋物語を入れなくてもいい」という結論になり、脚本の幅が拡がります。

話をまとめます。

今は、お客さんの選択肢が増えたので、「展開シロのあるニッチ」を選べる人が本当に強くなってきました。

くれぐれも「ローカルメジャーがダメだ!」と言っているわけではなく(僕もVoicyをやってるし)、自分の活動の可能性を把握した上で活動することが大切だという話です。

現場からは以上でーす。

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