『アフォーダンス』で削れる人件費(2019年11月27日)

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この記事は1年前のオンラインサロン西野亮廣エンタメ研究所の過去記事です。

2019年11月27日
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今夜は富良野で講演会なのですが、「合間に、巨大な雪ウンコを作る時間はあるのか?」と本気でスケジュール確認をしているキングコング西野です。
今日は、昨日の記事の続きです。
(※昨日の記事をまだ読まれていない方は、先にそっちを読んでくださーい)
昨日、「来月オープンする渋谷のグッズショップでアルバイトを募集しようとした瀬戸ちゃん(学生インターン)に対して、僕が『アルバイト募集は辞めた方がいいかも』と言った理由を予想してみてください」とサロンメンバーの皆様に投げたところ、たくさんコメントをいただきました。
たちまちコメント欄は、すさまじいアイデア(理由)で埋まり、僕が持っているカードよりも強いカードをバンバン出されてしまって、これから僕が出すカードが完全にショボく(クソ真面目なことに)なってしまう事故が発生しております。「予想してみてください」と投げた自分を全力で殴りたいです。
こういう事故が起きますので、今後は、あまり面白い答えを出さないでください。
空気を読んでください。お願いします。

さて。
大変真面目な答えで大変申し訳ないのですが、瀬戸ちゃんから提案された時に僕が彼に投げた質問は、次の二つです。
①利益は計算したか?
②そもそも、その仕事は楽しいか?
①は説明するまでもありませんが、グッズショップ全体の「売り上げ」から、「原価」とを引いたものです。
人件費も「原価」として捉えた方が分かりやすいと思います。
アルバイトさんの時給を1000円として、一日10時間働いていただくと、人件費は一日1万円、年間で365万円です。

先々の展開は未定ですが、今、現在の渋谷のグッズショップには数百円のグッズを少し置く程度。
(※コーヒーは無料)
数百円のグッズの利益なんて、たかが知れていて、一つ売れば100円の利益が出るグッズならば、年間に3万6500個以上売らないと赤字です。
しかも「飲食」などの消耗品ではなく、一人につき一個以上は必要ない「グッズ」をです。
人件費というのは本当に高くて、グッズの売り上げで回収するのはなかなか難しいです。
すんごい基本的な話ですが、基本ができていないと、デタラメな挑戦はできません。

ときどき、他所様のイベント運営を覗かせてもらう機会があるのですが、ウン千万、ウン億円の勝負ができない人というのは、往々にして、10円単位の計算(コスト削減)ができていません。
クソ真面目で、まるで面白くないかもしれませんが、僕がインターンの子に最初に教えることはココで、「10円、100円レベルのコスト計算をサボる奴に、ウン千万、ウン億円のプロジェクトを任せられるわけないじゃん」です。
(※ちなみに僕はウン億円の買い物をときどき失敗します。西野はこの調子だから、スタッフさん頑張って!)

僕がよく言うことですが、
「アクセルをベタ踏みしたけりゃ、高性能のブレーキを付けろ」
「圧倒的に攻めたければ、守りを固めろ」
です。
んでもって、「面白くなりたい!」という志を持ってウチに来た以上は、「いつか、できるようになりましょうね」で片付けるつもりはなくて、「20分で改善してね」です。
次に、『そもそも、その仕事は楽しいか?』についてですが、実はこっちの方が重要だと思っていて、リーダー(今回の場合だと瀬戸ちゃん)が徹底的に頭を使わなきゃいけないのはココです。
優秀な(まわりから慕われる)リーダーを目指すのなら、絶対にやっちゃいけないのが「給料=ストレス(我慢)の対価」にしてしまうことです。

『給料』というものは、スタッフさんが今日も安心して暮らしていく為のお金で、リーダーはそれを「仕事中のストレスと引き換えに手に入るもの」にしてはいけません。
「家賃が払えて、温かい御飯が食べられて、友達と一緒にオシャレをして、個人の趣味に使うお金がある」という最低条件をクリアした上で、「そして、仕事中も楽しい」というゲームを作るのがリーダーの役割です。

「だけど、仕事は楽しくない」にしてはいけません。
同じグッズの説明を朝から晩まで復唱させられる仕事はきっとあんまり楽しくなくて、つまるところ、「お金をあげるから、そこは我慢してね」というデザインになっています。
ここでリーダーが考えなきゃいけないのは「どうすれば、この仕事が楽しくなるのか?」「そもそも、こういった“同じ説明を復唱する仕事”は『人』がやらなくちゃいけないのか?」という部分。
昨日、瀬戸ちゃんには『アフォーダンス理論』を話しました。

以前、このサロンでも取りあげましたが、『アフォーダンス理論』というのは、物が持つ形や色、材質などが、その物自体の扱い方を説明しているという考え方のことです。
ほら、「ドアノブ」の形を見ただけで、そのドアを押すか引くか分かるじゃない?
ドアの横に「このドアは引いてください」という説明を朝から晩まで復唱するスタッフを立たせていない。
ドアは、使い方の説明を「ドアノブ」にやらせている。
「楽しくない(繰り返し)仕事」というのは往々にして『テクノロジー』か『アフォーダンス』で突破できて、プロジェクトリーダーは脳ミソを総動員させなきゃいけないのはそこだと思います。
整理します。

今回、瀬戸ちゃんが判断をした順番は…
①サロンメンバーから販売スタッフを募集する。
②サロンに投げたら、ボランティアでも集まるかもしれないけど、面白味が少ない仕事なのでボランティアにはせず、ちゃんとお給料を払う。(←これは偉い!)
と予想されますが、優秀なリーダーを目指すのなら、
①利益が出なさそうだな。
②そもそも、あんまり楽しくなさそうな仕事だな。
③本当に『人』がやらなくちゃいけない仕事なのかな?
④アフォーダンスで解決できないかな?
⑤テクノロジーで解決できないかな?
⑥解決できなさそうだな。
⑦となったら、この仕事を、どう楽しくしようか?
という順番が正解だと思います。
んでもって、今回のケースは④で絶対に解決できます。

これは、全ての仕事において共通して言えることで、時々、イベント会場で「綺麗に並んでくださーい!!」とスタッフさんに延々と声を張り上げさせる仕事を見ますが、リーダーは、あれをやらしちゃいけなくて、「どうすれば、声を張り上げ続ける仕事を無くせるか?」をまず考えなければなりません。
チームを設計するリーダーは、『アフォーダンス』で削れる人件費とスタッフのストレスに神経を研ぎ澄ませ続けること(※プロジェクト設計にアフォーダンスを組み込む)が大切だと思います。
現場からは以上でーす。

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