えんとつ町のプペル 第1話 星が降った夜

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この記事は1年前の西野亮廣エンタメ研究所の記事です。
2020年6月16日
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おはようございます。
先日、インスタライブ中に「トイレには綺麗な女神様がいるんですか?」という質問をいただいた時に、「それは、渡部さんに聞いてください」と返すことを懸命に我慢したキングコング西野です。
さて。
昨日はゴリゴリ仕事の話をしてしまったので、今日はビジネストークを一休みして、皆さんと一緒に「作品制作」をしたいと思います。
今年は映画「えんとつ町のプペル」が公開になるのですが、そこに合わせて小説「えんとつ町のプペル」を出そうと思っております。
どうせ僕のパソコン上で文章を組み立てていくのであれば、皆さんと一緒に小説の編集作業をして、一緒に作品を育てた方が面白そうです。
ということで今日は、小説「えんとつ町のプペル」の「プロローグ」と「第一話」を共有し、サロン内で編集作業を進めたいと思います。
「ここは、こういう言い回しにしてみては?」という提案があれば、コメント欄までお願いします。
(※『提案』だけでなく、『感想』も貰えると嬉しいです)
ポイントは、ルビッチは少年なので「少年が使う言葉」を使い、ルビッチのキャラクターを魅力的にすること。
(※冒頭のストーリーテラーはルビッチではありません)
少年言葉の例:「❌大人達→⭕️オトナの人達」
皆さまからのコメントを受けて、「おお!いいな!」と思ったら、すぐに採用して、本文に反映させていただきますので、時間を追うごとに文章が変わっていくと思います。
その辺りの成長記録も楽しんでいただければ。
それでは、宜しくお願いします。
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▼プロローグ 〜夜の町〜
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たとえば今キミの目の前に、キミが捨ててしまった夢を持っている人間が現れたら、キミはその人間を応援することができるか?
今、少し躊躇ったな?
それが真実だ。
ともすれば、キミがその人間の夢を邪魔することもあるだろう。
その人間の夢が叶ってしまったら、あのとき夢を捨てた自分の判断が間違いだったことを認めなくちゃいけなくなるからだ。
そいつは都合が悪いよな?
胸が痛むか?
大丈夫。
これは、キミの度量の問題じゃない。
ここに働いているのは、もっと大きな力だ。
「夢を捨てた人間は、夢を持つ人間を許せない」
これが世界のルールだ。
この町もずっとそうだった。
あのゴミ人間が現れるまでは。
これは、光を捨てた夜の町の、最後の夜の物語。
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▼えんとつ町のプペル
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【第1話 星が降った夜】
そこらじゅうに煙突がそびえている。
どの煙突も、その先っぽから黒い煙をモクモクと吐いている。
ボクらの頭の上は、いつも煙でいっぱいだ。
向かいの煙突のてっぺん近くで、何かがぶらんぶらん揺れている。
あれはスーさんだ。
煙突にかかったはしごにひざを引っかけて、掃除道具もろとも、逆さまにぶら下がっている。
スーさんは、仕事がそろそろ終わるという時間になるとアレをやる。
なんでやるのかは、わからない。
〝やる理由〟がいっこも見当たらないので、変な人なのだとボクは判断してる。
スーさんは、いつも周りが見えていない。
昨日は、中央通りの真ん中で、ひとりで笑っているおじさんを指差して、「あのおじさん、ひとりで笑ってるっぺえ」と言いながら、ひとりで笑っていた。
もしかしたら、あのおじさんの前にもひとりで笑っている人がいて、スーさんの後にもスーさんを見てひとりで笑っている人がいたかもしれない。
目の前のことだけ見ていたら、ホントのことなんてわからない。全体を見なけりゃ、“見えてない”のとおんなじだ。
逆さまになったスーさんは、両手をバタバタさせてボクを呼ぶ。
「おーいルビッチ、頭の上っちょから煙が降ってくるっぺえ」
今日はハロウィンなので、そこらじゅうで魔除けの煙を焚いている。
おかげで、いつも以上にモックモクだ。
スーさんを眺めていても仕方がないのでボクは、煙突の中にたらしていた“ロープブラシ”を一気に巻き上げた。
ブラシと同時に細かいススが煙突の中から飛び出してきて、これが本当にイヤだ。
耳とか鼻とか、そういった入っちゃダメなところに絶対に入ってると思う。
次から次へと新しく煙突が建つ。
ボクらの仕事は忙しくなるばかりだ。
こんなペースで働いていたら、いつ転落事故が起こってもおかしくない。
だけどそこは、親方のダンさんがとっても厳しく管理していて、少しでも疲れていたり、少しでも体調を崩していたりすると、煙突に上らせてくれない。
ダンさんは、父親のように厳しくて、大きい。
ボクたち煙突そうじ屋は、大家族みたいだ。
みんなが帰り支度を始めている。
北の煙突に上っている無口のトッポさんも、東の煙突に上っている義足のヤマさんも、慣れた手つきでそうじ道具をまとめている。二人ともボクの上司だ。歳は三回りも違う。
煙突のてっぺんから、はしごに足をかけたとき、強い風が吹いて、煙が横に流れた。
煙が流れたその先に〝世界の果て〟が見えた。
延々と伸びる崖。
高い崖に囲まれたこの世界は、まるで大きな煙突の中みたいだ。
父ちゃんは、この世界を「えんとつ町」と呼んだ。
ここが煙突の中みたいな形をしているからってわけじゃなくて、「煙突があるから」。
「世の中には、煙突が無い世界もある」というのが父ちゃんの言い分だ。
川を下ったその先に、ボクらの頭の上をおおう黒い煙のその先に、こことは違う世界が存在するんだって。
だから父ちゃんは「町」という言葉を作り、ここを「えんとつ町」と呼び、世界を拡げた。
もちろん、この町の外に別の世界があるなんて、作り話だ。
二年前に父ちゃんが作った『えんとつ町のプペル』という紙芝居の中の話。
えんとつ町は煙突だらけ。
そこかしこから煙が上がり、頭の上はモックモク。
朝から晩までモックモク。
黒い煙に覆われた、えんとつ町に住む人は、
青い空を知りやしない。
輝く星を知りやしない。
もう百万回以上は聞いたから、すっかり頭にこびり付いている。
父ちゃんは休みの日になると広場に行き、自分で作った紙芝居を子どもたちに読み聞かせていた。
最初のうちは子どもたちの食いつきも良かったんだけど、まもなく「おとぎ話だ」と飽きられちゃった。
オトナの人達は最初から否定的で、「おい、ブルーノ。余計なことをしていると、異端審問所に目をつけられるぞ」「ふざけた話を子どもに聞かせるのはもうやめろ」と父ちゃんにヤジを飛ばしてばっかり。
しかし、それを黙らせたのが母ちゃんだ。
「おとぎ話くらい、好きにさせてやりな」
いつだって母ちゃんはこの調子だ。
「旦那も旦那なら、嫁も嫁だな」とイヤミを言われれば、「だから結婚したんだよ」と豪快に打ち返した。
ボクの母ちゃんは、いつだってビクともしない。
父ちゃんは、とろけたような顔になって、人さし指で鼻の下をこする。これが父ちゃんの癖だ。
父ちゃんは母ちゃんのことが大好きなのである。
父ちゃんが作った紙芝居『えんとつ町のプペル』は、町での評判はすこぶる悪かったけど、ボクは大好きだった。
主人公のプペルは、「船」という黒い乗り物で海に出て、「星」を探す旅に出る。
「星」というのは頭の上に浮かんでいる光輝く石っころのこと。
さすがのボクだって、石が空中に浮かぶわけがないことぐらいわかってる。
もし本当に「星」が煙の上にあったら、とっくの昔に地面に降ってきているハズだ。
そんなことは分かっている。
だけど、父ちゃんは言った。
「見たのか? お前は、そこに星がないということを、お前の目で確認したのか?」
ボクは星を見ていないけど、星がないことも見ていない。
「ルビッチ、ひとりで降りれるけ?」
スーさんは高い場所が苦手なボクをいつも気遣ってくれる。
「だいじょうぶー」
と、その時だった。
煙の中から星が降ってきた。
赤く輝く星が、ゆっくりと降ってきたのだ。
「スーさん。 上見て、う〜えっ」
スーさんは「お?」と口の形を丸くして、地面を見た。
まだ逆さまにブラ下がったままだ。
赤い星はスーさんの背後を通過して、川向こうの「ゴミ山」に落っこちた。
~第1話『星が降った夜』~
【追伸】
サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino』を付けて《本垢》で呟いていただけると、西野がネコのようになつく場合があります。

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