西野亮廣とホームレス小谷の出会い

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この記事は1年前のオンラインサロン西野亮廣エンタメ研究所の過去記事です。
2019年2月5日

おはようございます。

スナック『Candy』五反田店の一周年のお祝いに行ったら、「ハイボール(一杯)=1万円」でボッタくられたキングコング西野です。

さて。

僕の後輩で、5~6年ほどホームレスをやっている『ホームレス小谷』というのがいるのですが、そろそろ大ブレイクしそうな気配が
漂っているので、前々から、いろんな出版社さんから声をかけられていた「ホームレス小谷の小説」を書こうと思いまして、
昨日、筆を走らせてみたところ…まもなく「ん?こんな、どこにでもあるような小説よりも、もっと上手いパッケージを作ったら、
『男はつらいよ』や『裸の大将』といった国民的な作品にできるぞ!」と思い、書いた原稿をソッコーでボツにしました。

これから、新たに作り直します。

とはいえ、せっかく書いた「プロローグ部分」を僕のパソコンのゴミ箱に捨てるのも惜しいので、コチラに投稿します。

ホームレス小谷から聞いた「キングコング西野との出会い」の話です。

ヘラヘラ笑っている僕が、当時、衝撃的だったらしいです。

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売れない。売れる気配がない。

「ジャルジャル」や「銀シャリ」といった同期芸人達が次々とテレビの世界から御指名が入る中、劇場に出演する権利をかけた
オーディションを受けては落ちて、受けては落ちての10年間。

せめて“呑み会”で挽回しようと、先輩芸人の呑み会に参加してみたが、せっかく話を振られても、緊張して上手く返せない。

芸人なのに、面白いことが言えない。

髪を明るく染めて、服装を小綺麗にしてみたけど、どうやらそういうことでもなさそうだ。

波風ひとつ立ちやしない。

回し車の中を走るハムスターのように、同じ場所を走っている。

いや、最近は走ってもいない。

どうやら、モチベーションというものは「結果」がもたらしてくれる産物らしく、ここまで「結果」が出ないとモチベーションも上がらない。

ああ、嫌だな。

最近は「行動しない自分」の説明ばかりが上手くなってきた。

この先に待っているのは、「行動しない」ことを正当化してしまう自分だろうな。

そんなことは分かっているんだけど、ここから抜け出す方法が分からない。

そんな矢先、キングコング西野さんの単独トークライブが大阪の劇場で開催されることを知った。

芸歴はたった3年しか変わらないのに、向こうは、とっくの昔に全国ネットのスターだ。

キングコングさんの話は、吉本興業の養成所時代に、講師の先生方からキングコングさんのことが嫌いになるほど聞かされた。

養成所の在学中に10年目の芸人を押しのけて漫才大賞を獲り、芸歴一年目で関西の漫才賞を総ナメ。
そのまま東京に進出して、スター街道を突き抜けた才能だ。

僕ら世代の芸人は、養成所の先生から「キングコングを見ろ」と何度も何度も言われたけれど、
次元が違いすぎて、まったく共感ができなかった。

それに、ここ最近のキングコングさんは、すっかりお茶の間仕様になってしまって、それほど面白いとも思えない。

ただ、一つ気になったことがあった。

なんで、テレビのスターが大阪のこんな小さな劇場でトークライブをするんだろう?

気になった頃には、劇場に向かっていた。

西野さんと僕の違いを近くで見たかったし、西野さんが今このタイミングで「ドサ回り」のようなライブをしている理由を知りたかった。

西野さんの楽屋前には、ライブを見学に来た若手芸人達が、挨拶待ちの列を作っている。

楽屋からは「本日勉強させていただきます。宜しくお願いします」という軍隊染みた声が聞こえてきて、
体格のわりに小心者の僕は、この時点でやられてしまう。

そして、僕の順番が回ってきた。

「NSC25期生の小谷と申します。本日勉強させていただきます」

「ギャハハハハ」

どういうわけか、目の前にいる「キングコング西野」が僕の挨拶で笑っている。

「な、なんでしょうか?」

「小谷君って、アゴ、歪んでるね。それ、歪めてんの?」

「歪めるわけないじゃないですか。歪めるメリットを教えてください」

「ギャハハハハ」

西野さんが手を叩いて笑っている。

つられて、周りにいるスタッフさん達もヘラヘラ笑っている。

とても本番前とは思えない。

それどころか、とてもプロとは思えない。

なんだか素人臭い。

「ご両親のアゴはどんな歪み方をしてるの?」

西野さんの質問が続く。

「なんで初対面の後輩の御両親のアゴの歪み方を訊くんですか?」

「ギャハハ。ヤバイ。おもろい。死ぬ。やめて」

今度は机をバンバンと叩いて笑っている。

あれ、僕って、こんなに面白かったっけ?

次の瞬間、自分でも驚いた行動に出た。

「初対面やのに、失礼すぎるやろ。なんやねん、この先輩!」

随分と踏み込んだツッコミだったが、それでも西野さんは机を叩いて笑っている。

「いいね、最高。小谷君、ヤバイね」

西野さんが軽いのか、僕が面白いのかは分からないけど、一つ言えることは、いつもよりも自分を出せている。

そして、そういえば緊張していない。

「お笑い」って、緊張せずにできるんだっけ?

なんだろう、この感じ。

少なくとも、プロの芸人になってからは経験したことがない。

なんだろう、この感じ。

挨拶を終えて、楽屋を後にすると、まもなく楽屋の方から西野さんの笑い声が聞こえてくる。

西野さんを笑わせているのは、僕の次に楽屋挨拶に行った根暗の後輩芸人だ。

あれ?

アイツって、あんなに先輩芸人を笑わせる奴だったっけ?

アイツって、あんなに自分から積極的に話しかけていく奴だったっけ?

「西野ぉ、そろそろ、開演するで」

「はーい。ていうか、さっきの奴、オモロイっすね」

舞台監督さんに引っ張られるように、西野さんがヘラヘラと笑いながら舞台袖に移動している。

違う。

ここには、僕がこれまで見てきた「お笑い」と明らかに違う空気が流れている。

皆が簡単に笑っているんだ。

なんだ、コレ。

『笑うホームレス』-プロローグ-

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