この記事は1年前のオンラインサロン西野亮廣エンタメ研究所の過去記事です。
2019年5月7日
おはようございます。
1931年(昭和6年)から続く国内最大の広告賞『毎日新聞広告賞』で芸能人初の快挙となるグランプリ(最高賞)を受賞し、勢いにのって、受賞スピーチでポコチンの話を放り込んだら、1931年から続く同賞の受賞スピーチで最大のスベり方をしてしまい、はやく死にたいキングコング西野です。
さて。
昨日『マーケティング』の話をしたところ、意外と評判が良かったので(自分の体験談だからでしょうね)、今日も、少しだけ『マーケティングの話』をば。
ジャム理論
商品を売ったりする人達の中ではとても有名な『ジャム理論』というものがあります。
『ジャム理論』というは、どこかのメッチャ賢い人がやった「26種類のジャムを棚に並べた時と、6種類のジャムを棚に並べた時とでは、どちらの方が売れるか?」という実験から出た結論なのですが、
結果を先にお伝えすると、この場合、6種類の方が売れるんです。
僕らは、選択肢が多すぎるとストレスに感じ、選択すること自体をやめてしまうわけですね。
ここでいう「ストレス」というのは、「未来のストレス」も含まれていますね。
つまり、「Aという商品を選んで、でも、帰り道に『やっぱりBにしとけば良かった』と思っちゃうかも…」という。
選択肢が多ければ多いほど、「『Cにしとけば良かった』と思っちゃうかも…」「『Dにしとけば良かった』と思っちゃうかも…」と、購買のブレーキを踏む理由(=ストレス)が増えるので、「多すぎる選択肢」というのは、お客さんの為のようで、お客さんの為にもなっていませんし、もちろん自分のお店の為にもなっていないわけですね。
一方で、選択肢が一つだったら、次は「選択できない」というストレスが生まれるので、ある程度選択できるぐらいの数は必要なわけですね。
とにかく、ストレスを無くす
この辺は国内外のアートフェアや絵本フェアでブースを出店して、テストを繰り返しまくって身につけたのですが、基本、「商品を売る」という作業は、「いかにして、買う人のストレスを無くすか」という作業になります。
昨日、『チックタック~光る絵本と光る満願寺展~』の物販ブースでは、『えんとつ町のプペル』が売り切れちゃったのですが(今朝、在庫を追加しました)、「ストレスを無くす」という観点から商品棚を設計すると、『えんとつ町のプペル【完売】』という看板は出しちゃダメで、『えんとつ町のプペル』の棚ごと無くしてしまった方がいいと思います。
そのままにしておくと、お客さんの中で「人気ランキング2位以下の作品から選らばなきゃいけないのか…」というストレスが生まれてしまうからです。
そして、ここが腕の見せ所で、逆に、『えんとつ町のプペル』だけが売れ残ってしまって、他の作品が全て完売したら、他の作品の商品棚は全て残して【完売】という看板を出しておくべきだと思います。
お客さんの中で「選択肢が一つしかない」というストレスが生まれますが、「今、買っておかないと、あとで買いたくなっても、もう買えない」という気持ちが勝つからです。
この辺の駆け引きは、センスじゃなくて、経験値ですね。
大切なのは「購買のペースが鈍い」と察したら、すぐに選択肢の数を増やしたり減らしたり、物販ブースのデザインや、お客さんの列を変えることが大切です。スピード勝負っす。
それと、もう一つ。
僕は『チックタック~光る絵本と光る満願寺展~』の会期終了後も、満願寺の売り上げを作り続けようと思うのですが(あの景観を守り続ける為には、予算が必要)、その為に、満願寺限定バージョンの『チックタック~約束の時計台~』を、満願寺の物販ブースに置き土産として置いていきます。
今後、満願寺で絵本を売る場合は、満願寺限定バージョンの絵本の横に、通常バージョンの絵本を並べて置いた方が、満願寺限定バージョンの絵本は売れるでしょう。
通常バージョンを隣に並べる理由は、選択肢を増やして、お客さんに選ばせてあげることで、お客さんのストレスを削る為と、そして、『チックタック~約束の時計台~』を知らない人に、「『満願寺限定バージョン』が特別である」ということを伝える為です。
つまり、通常バージョンの絵本は満願寺では1冊も売れなくて良くて、満願寺限定バージョンを売る為の販売促進装置ですね。
これは、お店を経営されている人に限った話ではなく、たとえばクラウドファンディングに挑戦される時も、リターン(返礼品)の組み方は基本、これっすね。
クラウドファンディングのリターン一覧は『商品棚』なので、支援者の方のストレスを削るように、リターンの個数や、リターンの内容を組んでいくといいと思います。
現場からは以上でーす。
【本日の出没情報】
16:00
ブックファースト阪急西宮ガーデンズ(兵庫県西宮市高松町14-2 4F)
16:50
紀伊国屋グランフロント大阪(大阪市北区大深町4-20 南館6F)
17:20
ジュンク堂大阪本店(大阪市北区堂島1-6-20)
現場で購入いただいた絵本にサインを入れさせていただきますので、気軽にお声がけください。
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