この記事は1年前のオンラインサロン西野亮廣エンタメ研究所の過去記事です。
『ヒット作』は作れる。だけど……
2018年12月6日
おはようございます。
学生時代、「教室の机に穴を空けて、消しゴムのカスで穴を埋める」というプラマイ0の活動を繰り返していたキングコング西野です。
さて。
今日12月6日は絵本最新刊『ほんやのポンチョ』の発売日です。
初版が5万部で、発売前に重版がかかって、5万5000部。
この結果は、日々走り回ってくださったいるスタッフの皆様の努力や、前作『えんとつ町のプペル』や、3ヶ月連続リリースの前2作の貯金なので、「ほんやのポンチョが世間に刺さった」とは思っておりません。
これまでの絵本とは違って、いわゆる「児童書」である『ほんやのポンチョ』が世間に受け入れられるかどうかはこれからで、まだまだ未開拓の地(だけど、この層をおさえたら強い)なので、いろんな球を投げて、それぞれのリアクションをじっくり見て、勉強していきたいと思います。
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『ヒット作』は作れる。だけど……
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ここ数年、何冊か本を出させてもらって思うことがあります。
それは…
「宣伝に力を注げば『ヒット作』と呼ばれる本を生むことはできるんだけど、明日には別の人が『ヒット作』を生むので、あれだけ宣伝に時間を注いで生んだ自分の『ヒット作』が霞んでしまう」
…ということ。
そこにはいつも、若干の「虚しさ」が残って、「ヒットが生まれたあの瞬間はメチャクチャ喜んだけれど、その興奮の陰に隠れて、実は僕らはあまり前に進んでないんじゃないか?」という疑問が残ります。
短くまとめると、「ヒット作って、実はコスパが悪くね?」です。
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『えんとつ町のプペル』というロングセラー
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今、Amazonの絵本売り上げランキングを見たら、ありがたいことに『ほんやのポンチョ』が1位だったのですが、特筆すべきは、『えんとつ町のプペル』がランキング2位につけているということ。
ちなみに、『えんとつ町のプペル』が世に出たのは、もう2年以上前です。
ちなみに、現在、37刷目。
実は今回、全国の書店さんから『ほんやのポンチョ』のサイン本の依頼を募集したのですが(サインを入れた本は書店サンが買い取り)、その際、「『えんとつ町のプペル』のサイン本もいただけないでしょうか?」という声がたくさんあったんです。
つまるところ、書店サンに「西野の新刊の隣に、『えんとつ町のプペル』を置いていたら、『えんとつ町のプペル』も買っていただけるんじゃね?」と思ってもらったということです。
今回、『えんとつ町のプペル』の宣伝は、僕からは1秒もしていません。
お手本のような「ロングセラー」で、このポジションを取らない限り、僕らは人生の大切な時間を「ヒット作」という刹那的な興奮に奪われることになります。
そして、ここで僕らが受け止めなきゃいけない事実として、「僕らは『ヒット作』のメソッドは確立したけど、『ロングセラー』のメソッドは確立できていない」ということ。
『えんとつ町のプペル』は、「光る絵」や「著作権フリー」や「楽曲」など、たしかに確信犯的にロングセラーに繋がりそうな種は撒きましたが、はたして、どのアクションがどれぐらい刺さってロングセラーに繋がったのかの検証がまだできていません。
マグレ当たりの場外ホームランには何の価値もなくて、「バント成功」「1塁打」「2塁打」「3塁打」「ホームラン」「場外ホームラン」をミリ単位で狙える身体づくりをしておかないと、とてもじゃないですけど、ディズニーは超えられません。
その為には、とにもかくにも「データ」ですね。
「そこには、どれぐらいの人がいて、何にどれぐらい反応するのか?」…そのデータを徹底的に取る。
そして、成功にも失敗にも必ず共通点があるので、「ロングセラーの共通点」を全てあらい出す。
ヒット作で喜んでいる場合じゃねぇです。
30年後もエンターテイメントの最前線でドンパチやれる準備をしましょう。
【Amazon】『ほんやのポンチョ』
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