ミュージカルと舞台の違い

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この記事は1年前のオンラインサロン西野亮廣エンタメ研究所の過去記事です。

2020年2月6日
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こんにちは。
年に一度、東野幸治さんと二人で呑みに行く日があるキングコング西野です。
ちなみに、今日が、その日です。

さて。

昨夜、舞台『えんとつ町のプペル THE STAGE』の大千秋楽がありました。
全18回公演、誰一人欠けることなく、無事に走り終えたことをご報告させていただきます。
本当にありがとうございました。

昨日を含めて、僕は4回観に行かせていただいたのですが、もちろん改善点はあるものの、舞台『えんとつ町のプペル』には可能性しか感じませんでした。

舞台『えんとつ町のプペル』は、まず間違いなく、今後数十年続くエンターテイメントになるでしょう。
そこに向けて、どう改善していけばいいのか?
どの部分を伸ばしていけばいいのか?

解像度をグッとあげて、皆様に御説明させていただきます。

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▼ 『えんとつ町のプペル THE STAGE』とは何か?
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『えんとつ町のプペル THE STAGE』を「舞台作品」「ミュージカル作品」としてしまうと、あの作品の可能性はその瞬間に終わってしまいます。

これは昨日、堀江貴文さんやSHOWROOM前田さんとも話したのですが、『えんとつ町のプペル THE STAGE』の可能性は…

① 絵本の舞台版(1時間半)を観る。
② 終演後にグッズ(おみやげ)で絵本を買う。
③ 買って帰ってきた絵本を家に置く。
④ 子供が生まれたら、絵本を読み聞かせする。
⑤ 子供と共に絵本の舞台版が観に行きたくなる。
⑥ 絵本の舞台版(1時間半)を観る。

…という無限ループ(少なくとも2週目)が生まれるところですね。

つまるところ、『えんとつ町のプペル THE STAGE』は、【絵本『えんとつ町のプペル』のCM】なんですね。

厳密に言うと、皆、死ぬ気で舞台を作っているわけで、CMを作っているわけではないのですが、「CMとして機能している」という話です。

まずは、ここを押さえておかなくちゃいけません。

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▼ 絵本のCMとして考える
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CMとして考えた時に、実は邪魔をする可能性があるのが、ミュージカルでは必要不可欠な「圧倒的は歌唱力」です。

圧倒的な歌唱力というのは「一方通行のエンタメ(※私の歌唱力どや?)」で、子供を巻き込めない(子供が真似をしない)ので、CMとしては邪魔です。

子供にバズっている『パプリカ』は米津玄師さんが歌っているバージョンではなくて、子供が歌っているバージョンです。
“子供が再現できるように”調整する必要があるわけですね。

ここを見誤って、歌唱力を追い求めてしまうと、余多あるミュージカル作品のうちの一つとなってしまって、『絵本の舞台版』というアドバンテージが消えてしまいます。
無限ループが途絶えてしまいます。

昨日、演出の児玉明子さんが、「ルビッチ役は歌が下手でいいんです。だって、ルビッチは歌手じゃなくて、煙突掃除屋だから。ルビッチが極端に歌が上手かったら、そんな子は絶対に成功している。そうすると、ストーリーの辻褄が合わないじゃないですか」と言ってらして、図らずも『歌唱力は要らない』で意見が合致しました。

余談ですが、児玉さんが面白いのは、宝塚歌劇団出身の演出家さんが、「物語の邪魔になるので、歌の上手さは要らない」と結論されているところ。すごいなー。
彼女は天才だと思います。
ちょっと、鳥肌が立つレベルです。

話を戻します。

CMなので『歌の上手さ』は要らないのですが、『曲の良さ』は必要です。
ポイントはココですね。

曲が悪いと、『歌の下手さ』が不快感に繋がるので。
『パプリカ』は曲が良いから、子供が歌って、多少音をハズそうが聴いていられます。

年末に『天才万博』という忘年会をやっているのですが、そこでは、『えんとつ町のプペル』や『オーシャンゼリゼ』を音痴の子供がマイクを握って大声で歌っているのですが、全然、聴けるんですよね。

『えんとつ町のプペル THE STAGE』で流れる曲は、いわば「CMソング」なので、歌は下手でもいいから、曲は良くないといけません。

一方で、ブロードウェイでおこなう『Poupelle of Chimney Town』は歌も曲も最上級のものを提供しなければなりません。
あちらは「ミュージカル」なので。

ここの棲み分けをキチンとしておかないと、皆すぐに、すべての項目のクオリティーを上げようとしてしまうので、気をつけておいた方が良さそうです。

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▼ これ、舞台だけの話じゃないです
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「すべてのクオリティーを上げた方がいい」という短絡的思考による事故は、いろんな場面で起きていて、たとえば「田舎のお店をオシャレにリフォームしたことによって、(オシャレに自信がない人が店に入りにくい雰囲気になって)集客が落ちた」ということが普通にあります。

目的に合わせて、どのツマミを上げて、どのツマミを絞るのか?
その判断が必要ですね。

『えんとつ町のプペル THE STAGE』を「絵本のCM(絵本のCMとすることでリピーターを生む)」とすることによって、見えてくる答えが結構あった。というのが今回の収穫です。

とりいそぎ、皆の耳に残る『えんとつ町のプペル THE STAGE』の曲を作ろうと思います。

現場からは以上でーす。

【追伸】

絵本『夢幻鉄道』の曲のラフは完成したよ。

作曲:西野亮廣
演奏:中村文香

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