絵本に対する想いとジネスモデル

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この記事は1年前の西野亮廣エンタメ研究所の記事です。

2020年6月18日
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おはようございます。
今朝、ついに『赤紙』が届いたキングコング西野です。
#ゴッドタンのオファー
さて。
今日は現在とりかかってあるプロジェクトをゴリッと前に進める為の投稿をさせてください。
「あー、西野君はこんな感じで仕事を進めてるんだなぁ」と親戚のオバチャンのような柔らかい目で見守っていただけると嬉しいです。
今朝のVoicy(https://voicy.jp/channel/941/85398)でも話させていただきましたが、現在、サロンメンバーの海外組と共に、絵本の海外出版の交渉をグイグイ進めております。
サロンメンバーさんの頑張りによって、すでにいくつかの国で出版が決まっていてるのですが(あざす!好き!)、交渉を進めていく中で、「海外の出版社を口説き落とす時に必要な素材」の輪郭が見えてきました。
「作品に対する想い(メッセージ)」を重要視する出版社もあれば、「ビジネス的に成功するのか?」という点を重要視する出版社もあります。(※アメリカなんかは後者)
その都度、海外のサロンメンバーさんが「作品に対する想い」や「ビジネス展開」を創作するのは大変だと思うので、今日は僕の方で、それぞれの『雛型』を2パターン用意してみました。
(※これで、交渉してくださるメンバーの負担を少し減らせるかも)
以前、投稿した「Q&A」を更に掘り下げたものです。
これをベースに翻訳し、交渉にあたっていただけると嬉しいです。
サロンメンバーさんからすると「知っているよ」という内容かもしれませんが、これはあくまで海外の出版社さんに向けたプレゼン資料なので、ご容赦ください。
出版が決まればソッコーで飛行機に飛び乗って飲みに行きますので、美味しいビールが置いてある店を探しておいてください。
いつもありがとうございます。
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Aパターン(絵本に対する想い編)
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我が家はあまり裕福な家庭ではありませんでした。
それでも年に一度、家族で外食をする日がありました。
僕は分厚いステーキを食べたかったのですが、値段を見るととても頼めません。
だからと言って、子供が家計を気遣っている姿を見せてしまうと、親が傷ついてしまうので、「僕は野菜炒めが一番好き」ということにして、安い『野菜炒め』を注文しました。
あれは、まだ6歳か7歳の頃のこと。
お正月になると、新年の挨拶で親戚の家々を回りました。
親戚のオジサンやオバサンが「お年玉」をくれるのですが、ウチは裕福ではありません。
オジサンやオバサンから貰った「お年玉」は家計の足しにしてもらおうと思ったのですが、その気遣いを親に見せてしまうと、親が傷ついてしまうので、「一旦預かっといて」と言って、「お年玉」を親に渡し、そして、返してもらうことを忘れることにしました。
子供という生き物は姿や表現方法こそ「子供」ですが、その中身は大人が想像している以上に成熟していて…家庭環境、幼稚園や小学校での自分の立ち位置、その他、目に見える全てのものを、我々大人とさして変わらない解像度で切り取っています。
大人になるとそのことを忘れてしまうようで、「子供は丸くてフワフワしたものが好きだろう」「子供はカラフルなものが好きだろう」「子供は手数の少ないイラストが好きだろう」という勝手なイメージを作りあげてしまい、おかげで、子供の身の回りには大人が勝手にイメージした子供象にあてはまるものしか並びません。
子供の頃の僕はテレビでやっているジブリ映画に胸が踊っているのに、「絵本」を読む時間になると、親や先生は「丸くてフワフワしたキャラクターが出てくる絵本」しか紹介してもらえず、バカにされているような気持ちになりました。
ビジュアルに「対象年齢」などありません。
「丸くてフワフワしたモノ」が好きな子もいれば、「描き込んだモノ」が好きな子もいます。
とりわけ絵本の世界では後者の子供が切り捨てられがちで、僕は、いつも切り捨てられるその子に向けて絵本を作っています。
今、日本ではたくさんの子供が僕の絵本を手にとってくれて、絵本展の会場には、たくさんの子供が遊びに来てくれます。
彼らからの質問はどれも的を射たものばかりで、まるで同い年の友人と喋っているような気持ちになります。
そういった関係で彼らと向き合っているので、やはり彼らには手加減することなくメッセージを届けていこうと思います。
最後に、絵本『えんとつ町のプペル』の話をします。
物語の舞台となる「えんとつ町」は、そこかしこから煙が上がり、頭の上は朝から晩まで黒い煙でモックモク。
おかげで「えんとつ町」に住む人は、青い空も、輝く星も知りません。
おかげで、上を見上げることを忘れてしまいました。
そんな中、煙突掃除屋の少年と、嫌われ者のゴミ人間だけが、煙の向こう側にある「星」の存在を信じ、見上げ続けます。
ところが「えんとつ町」は、見上げる二人のことを許さず、攻撃をします。
これは、夢を語れば笑われて、行動すれば叩かれる「社会の縮図」です。
昔からずっと繰り返されてきたことですが、特に昨今はSNSの影響で圧力が強くなりました。
「夢を追いかけるのならば、こういった痛みが伴う」という真実と、親子で向き合う時間があるといいなぁと思い、この作品を作りました。
夢を夢のままで終わらせない子供が生まれてくることを心より願っています。
AKIHIRO NISHINO
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Bパターン(ビジネスモデル編)
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同じシステムの中から生まれる作品に大差はなく、大きなインパクトを残す作品を生み出すには、システムそのものから変えていく必要があると僕は考えます。
その為に、まずは「本を売ったお金で生活をして、また本を作る」という〝生産スタイル〟を見直すことにしました。
映画や音楽や建築といった様々な芸術作品が「分業制」で作られているのにも関わらず、絵本は「一人の作家が作る」ということで相場が決まっており、それが美徳とされています。
しかし、どうでしょう?
どれだけ才能がある作家であろうと、人間です。
そこには必ず得手不得手があります。
空を描くのが得意な作家もいれば、町を描くのが得意な作家もいれば、人物を描くのが得意な作家もいます。
空を描くプロフェショナル、町を描くプロフッショナル、人物を描くプロフェッショナルを集めて、まるで映画制作のように、分業制で作られる絵本があってもよさそうなものですが…ところが、そういった絵本はあまり存在しません。
原因は「予算」にあります。
絵本は(基本的には)長い時間をかけて売り上げを重ねていくものであり、瞬間的に売れるものではありません。
初期段階で、まとまった印税が見込めないので、スタッフを雇うだけの予算が確保できず、「絵本は一人で作るしかない」という結論に至ります。
もしも、絵本制作の予算を印税以外から持ってくることができれば、各パートのプロフェッショナルがその才能を持ち寄って「分業制」で絵本を作ることが可能となります。
そこで作りあげたのが、『シナジーマップ』です。
これは、「一つのプロジェクトが、別のプロジェクトにもたらす影響を可視化した地図」です。この地図を描くことによって、各プロジェクトの「役割」が明確になります。
たとえば。
僕が出しているビジネス書は、「有料メールマガジンにお客さんを呼ぶ為のもの」としています。
僕のビジネス書は「収益を得る為のもの」ではないので、印税の全てをビジネス書の広告費(新聞の一面を購入、電車広告のジャック、等)に使っています。
その結果、多くの方に読んでいただけて、そのことによって、有料メールマガジンの購読者が増えます。
基本的に収益はこの有料メールマガジンで生んでいます。
現在6万6000人の購読者がいて、月額1000円なので、メールマガジンだけで年間に7億9000万円の収益が上がります。
僕の絵本は、ココ(メールマガジンの売り上げ)から制作費が出ており、それによって「分業制」が可能となっています。
そして絵本の世界を再現した店や小学校や美術館を作り、その制作過程の紆余曲折を有料メールマガジンで配信し、またメールマガジンの購読者を増やし、その売り上げで次の絵本を制作しています。
僕の絵本は、印税を元手にして生まれているわけではなく、こういったビジネスモデルの中で生まれているので、他の絵本とは違った形で制作をスタートさせることができます。
そして、もう一点。
あらゆるプロジェクトの広告とお金の流れを有機的に繋ぎ、最終的にはメールマガジンで収益化をしている為、そもそも絵本制作の目的に「印税」がありません。
印税収入を取るよりも、(予算をかけてでも)一人でも多くの方に絵本を届けた方が、収益が大きくなるので、去年は5000冊の絵本を出版社から購入し、被災地やスラム街の子供達にプレゼントさせていただきました。
「絵本を贈る活動」は今後も続けていきます。
このように、まずは絵本のビジネスモデルから再構築し、その上で絵本を作ります。
自分の活動内容を知っていただく為に、今回はこのような話をさせていただきましたが、ビジネスモデルの構築に懸けた想い以上のものを、作品に込めています。
どれだけ優秀なビジネスモデルを作ろうが、最後にモノを言うのは、「作品の力」だと信じています。
AKIHIRO NISHINO
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【追伸】
サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino』を付けて《本垢》で呟いていただけると、西野がネコのようになつく場合があります。

西野亮廣エンタメ研究所の入会ページのリンクはこちら→https://salon.jp/1hc1srjr-johu-o7eg-33xn-r8u88p2slizf

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